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2 日経新聞よりー「しつけ過多見直しを」

6ー11ー5 『まじめな子に忍び寄る悲劇』より抜粋

「しっかりとしつけられてきた子供たち」を言い換えれば親の前で仮面をつけ、本当は家庭が息苦しいのにそうではない「フリ」をしながら過ごしている子
         (略)
忍耐や努力を美徳としてきた日本人がいる。そのツケが究極の悲劇として終焉を迎える、そんな時代に突入したのだと感じられて仕方がない。
  私は仕事柄、犯罪を起こしてしまった人たちとかかわっている。近年顕著な傾向として危ぐするのは、彼らがしばしば「きちんとしつけられてきた子だった」という点だ。ある年齢で限界ラインを超えると、ため込んでいた感情のしこりが噴出し、仮面がはがれ、怒りの化身にひょう変してしまう。
         (略)
子供時代に、子供らしく伸び伸びと生きることができないと、どのような問題が派生するか。自分を否定し、他人や社会に脅威や疎ましさを覚えて、主体的に生きる構えは育たない。
         (略)
(ある真面目で明るい女子中学生の自殺を例に上げてー注)母親はいつも娘に「○○しちゃいけない」「○○しなさい」と事細かに指示してきたという。本人は一切口答えしなかった。はた目には「親はしっかりと、しつけていた」と映る。だが、いつの間にか少女の心は、自分はだめな人間でありのままの姿でいるのは許されない存在という意識で占められた。(彼女の残した秘密の日記には「こんな私なんか大嫌い」と綴られていたそうだ。ー注)  
         (略)
あまりしつけられなかった子供たちは「理想のレール」を歩まなくても元気のある大人になっていくように思う。それは今の高齢者たちの姿を見ればわかる。彼らが子供のころ、親は日々の暮らしに追われ、結果的に放っておかれた。子供たちは脱線と軌道修正を繰り返しながら、自分で自分をしつけていたとも言えるのだ。


  「しつけられた子供はみな問題を抱えている」と決めつけているわけではない。それでも「そう腹をくくった方が無難だ」とは声を大にして言いたい。ただし子供に仮面をつけさせた親を責めたくはない。今の親たちも同じようにやらされた子供時代をもち「この子のために」と信じて、精一杯に子育てをしているからだ。ここが最もやっかいなところでもある。将来の幸せを強く願うほど、子供を「しつけ(=勉強)」で縛り、子供から幸せを奪ってしまう。せつない悪循環がはっきりと見える。

  母親をしつけ過多に走らせる一因として、父親の態度は重要だ。子供の問題を母親に責任転嫁する場面をしばしば見るが、これは母親の不安をあおり、子供の支配に走らせる。父親も積極的に子供とかかわるのが望ましいが、せめて家族の心の支えになるべきだ。子供の成果にこだわらず、おおらかに構えていればいい。
  
 東海女子大学 長谷川博一教授(臨床心理学)
             著書に『お母さんはしつけをしないで』がある。
   
       *  *  *  *  *  *

日本に帰ると、色々の公共の場で子供がしたい放題で、しつけゼロの場面に出会う事も多いのですが、二極化しているのかもしれませんね。両方の極端に分裂して、真ん中の中庸が無くなって来ているのかもしれない。アメリカでも色々の面で二極化を感じるのですが、日本も段々そうなっているのかもしれませんね。

長崎の女子小学生殺人事件の加害者の子供の母親は、子供をすごく口うるさくしつけていたと聞いています。真相は知りませんが、そんな事も、読みながら考えてしまいました。

これを読んでいて、結局、昔からよく言われているように、「子供は親の背中を見て育つ」ものなのだから、親は口ではなく、自分の背中で見本を見せてしつけるべきなんだろうなぁと思いました。昔の人の知恵はやはり凄いですね。

私も口ばかりだった気がしますが、若いお母さん、これからのお母さん、背中で頑張って下さい!お父さんも勿論!子供が生き生きしているかどうかに、いつも心を配ってあげて、ありのままのその子の個性を受け入れるように。私自身は、エラそうなことは言えないのですけど、子供は幸せな存在であって欲しいとつくづく思います。

by bs2005 | 2005-06-13 01:15 | 忙中閑の果実  

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