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2  健太くん

『にんげんドキュメント』で昨日見た少年。妊娠7ヵ月の早産で生まれて、脳性マヒを患った。身体の自由が殆ど利かない。歯も父親が磨いてあげる。歩けない。お風呂もすぐ上の兄が抱き抱えて入れて洗ってあげる。もうすぐ中学生になる。

お母さんは訪問看護婦をしていて、子供は男女3人ずつ合計6人(!)。一番下の双子も生まれつきの難聴と、忙しさと大変さで、くるくる動いている。それを子供達が実に健気に助けている。

でも、健太くんは、自分の事もままならないので、助けられてばかりの方だ。食事も最近は、末の双子に面倒みてもらっている。見ていると、本当に、色々なことで、助けを必要としている。何も出来ないと絶望したり、あるいは、それに甘んじても仕方ないような感じだ。

それでも、彼は「自分に出来ることを見つけるのだ。そして、お母さんを助けるのだ。」という。その為にも、少しでも自立できるようにと、中学からは、そういう子供達が自立を学べる寄宿舎に行くのだと決意を固めている。その健気さと前向きな姿勢に打たれた。

色々なことを年のせいにしたり、能力のせいにしたりして、あきらめて、のうのうとしている自分に喝を入れられた思いだった。

彼は足の筋肉トレーニングを去年から始めた。その時に、母親に聞く。いつになったら歩けるようになるかなぁ?と。母親はその時の事を回想しながら、明るい人なのに涙をこぼしていた。辛いことだけど、真実を知るべきだと、一生歩けるようにはならないだろうと伝えたのだと。

その時、彼の言った言葉がまた凄い。さすがに歩けないという事には落胆したようだが、「生きているだけで感謝しているから、歩けなくても僕は平気だよ」と言うのだ。あんなに不自由な思いをして、辛い事もたくさんあるだろうに、彼はそう言う。母親は、そう思ってくれていたのだと凄く嬉しかったと言う。

何て素敵な子供だろう。この少年程の深い謙虚な気持ちで、生きている事に感謝している人間は、そう居るものじゃないだろう。ここでも喝を入れられた思いだった。

この家族は、そういう問題を抱えながらも、皆がすごく大事にしあって、愛情豊かな家庭だ。彼が寄宿舎に入る前日、いよいよ家を去る事で気持ちが不安定になり、少し荒れる。それを労り、励ます家族の姿がまた何とも言えず良い。こういう家族を後にして寄宿舎に入るのはさぞ辛いだろう。送る方も切ないだろう。それを皆が、それぞれの為に耐えようとしている。

家庭というものはこうあるべきだなぁと思う家庭。そういう中に居るから、こういう少年が出来るのだろう。改めて、愛ある家庭の凄さを見せつけられた思いだった。命と心が軽く扱われる時代、多くの人に見てもらいたい番組だった。

by bs2005 | 2005-06-02 00:03 | 賛辞のあなた  

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