もう一人の誇らしく思う日本人
2008年 02月 07日
その人は伊勢崎賢治さんという人です。彼は東京外国語大学大学院教授で、専攻は平和構築学。大学で平和構築・紛争予防講座を教えています。彼のもとに世界中の紛争地から研究者が留学生として来て研究をしています。
一番凄いことは、彼は象牙の塔の中でのこうした業績に留まらず、実際に世界の各地で紛争解決に大きい貢献を果たしているのです。国際NGOスタッフとしてアフリカ各地で活動後、東ティモール、シエラレオネ、アフガニスタンで紛争処理を指揮し活躍してきたのです。たとえば、アフガニスタンでは武力衝突している部族に説得で武器を捨てさせ、60,000人もが説得に応じて武器を捨て、戦いを止めました。
その国際紛争解決能力から、彼を「紛争屋」と呼ぶ人もいます。私はこの言葉の、紛争を食い物にしているような、紛争好きというイメージから、彼の『武装解除 -紛争屋が見た世界 』(講談社現代新書) (新書) という本は目にした覚えがあるのですが、読もうとも思いませんでした。今回、その思い込みを恥じました。
彼の話の中で、非常に印象深いものがあります。それは日本は、自分達の血を流す形での国際貢献をしていない、九条の蔭でぬくぬくとしているというような批判を受けることについて、ノルウェイの研究者の言葉を引用して語った部分でした。
アジアに於いて九条は安全保障の源泉となっている。日本のように経済的にも軍事的にも強大な国があえて憲法で戦争を放棄している、それ自体がアジアの安全保障であり、防衛力になっている。
伊勢崎さんは、日本にはこういう風に考える人が少ないといわれてますが、こういう見方がもっと広まって欲しいと私も強く思います。
また、彼は紛争地における交渉は、彼が日本人だから為しえたとも言ってます。アメリカはそういう地域では信用されていないし、イギリスもフランスもアメリカと軍事上の協定をしている国なので信用できない。日本だからこそ出来たことであり、これは最大の軍事的貢献であるとも言ってます。
日本にしか出来ない「全てが軍事、武装の世界から民事への世界へのパラダイムの転換」が、それが最大の国際貢献であると。
以上は爆笑問題 ニッポンの教養(1月15日放送)(伊勢崎賢治氏の回)からの受け売り(汗)ですが、番組を見ている間、私は心の中で、「こんな人が居たんだ!」という言葉を喜びを以って心で繰り返していました。最後に爆問の田中さんが「こんな人が居たんだ!」という言葉は正にという感じでした。
正に「柔よく剛を制す」を身体を張って実現している伊勢崎さん、アフガンで活躍されている中村医師と同じように日本人に誇りを持たせてくれる人ですね。
参考:
彼の著書
by bs2005 | 2008-02-07 10:41 | 忙中閑の果実