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知らぬは日本人ばかり?-2

イラクを「支援」に行った自衛隊でしたが、歓迎は当初だけだったそうです。



4ヵ月後にフリージャーナリストの志葉 玲さん(毎日新聞記事で三人目の最後に掲載。写真は彼のよう。年齢的に)が、集まってきた近所の人たちに「自衛隊はよくやっていると思う人は手を挙げてください」 と言ったら一人も手を挙げなかったそうです。「不十分か」 と聞いたら全員が手を挙げ、中には両手を挙げて「ノー ジャパン!」 と叫んで興奮する人もいて、その場の雰囲気はどんどん悪くなってきて、途中で引き上げざるをえないような感じになったのだそうです。

色々の理由はあるのですが、一つを挙げると給水活動です。自衛隊が来る前は、オランダ軍が十分な水を配給してくれていたのに、週に四回、それも圧倒的に足りない量とという村(これは一番良い方の村)から、一週間に一度来たら良い方の村、月に一、二度という村もあったのだそうです。来ないところでは子供達に泥水を与える他なかったのだとか。被災地などでも十分な水の配給はなかなか難しいことを勘定に入れても、オランダ軍が出来ていたことが出来ていなければ不満がくすぶるのは無理もないことだと思います。

何故そうなっていたかというと、自衛隊の浄水能力では、その半分が約550名の自衛隊の生活用水に使われていたこと、実際に水を配っていたのはイラク人で(これは失業者対策の面もありますが)、彼らは自分の村優先でその足りない水を配っていたからでした。自衛隊はそのチェックも監視もしていなかったのです。月に1、2度しか水をもらえない地域もあったのに、帰国した自衛隊員は「娯楽施設がないので毎日フロに入っていた」と言っていたそうです。現地の人たちに身体を洗う水がどれ程あったのか、、。水よりももっとひどい話も沢山あるのです。めげるので、今日はこれだけ書きますが、、。

イラクの人々は、本当にイラク復興を思って来る民間人は良いが、軍服を来て武器を持った軍隊はどの国の軍隊も来ないで欲しいと言っていたそうです。その言葉をアラブ服を着てテレビで盛んにパフォーマンスをしていた佐藤隊長に「武器を持っていくから反感を買うのだから、銃の代わりに工具を、迷彩色の代わりにワイシャツを着てイラクに行ったらどうなのか?」 と訊いたそうです。

返って来た言葉が、「それでは危険だ、隊員の安全を守れない」 というようなものなら、私も仕方ないかと思えたと思います。でも、佐藤隊長の言葉は、「それじゃ(自衛隊が)行く意味がない」 というものだったそうです。自衛隊があそこに行く意味は対日感情を悪化してでも軍服を着て武器を持っていくことに、つまり海外派兵の先陣をつけることに意味があって、現地の為ではなかったことを問わず語りに語っている話だと志葉さんは言ってました。私もそう思います。

詳細は日本図書館協会選定図書に選ばれた『たたかうジャーナリスト宣言 ボクの観た本当の戦争』(志葉 玲著/社会批評社)をお読みください。是非と言いたいところですが、読むとその内容に日本人として恥ずかしくなって、かなりめげるので誰にでもお勧めは出来ません。めげから立ち直れた度に内容は伝えられたら伝えます。この『知らぬは日本人ばかり?』シリーズは基本的に彼の本から感じたこと、学んだことです。彼の本は『川田龍平 いのちを語る』 (川田龍平 著 志葉玲 写真/明石書店)もあります。

彼は前述の毎日新聞の記事の中で「戦争は究極の格差社会。責任のあるヤツは常に安全なところにいる。大統領が前線に行くことはありえず、最前線に送り出されるのは経済的に貧しい兵たち。自由や正義という大義をいくら掲げても、真っ先に死ぬのは病人や子供など弱者たちだ」と言っています。

余談ですが、彼のブログの記事によると、安部さんがスカウトした新参院議員の丸川珠代さん、「核武装も検討すべき」 とアンケートに答えているとか。安部さんが選ぶ人間がどのレベルの人間か、この記事を読むと改めてよく分かります。今更驚くことはないのですが、その人を見る目の無さの徹底していることには驚きます。

志葉さんの本を読んでいるとマスコミで伝えられて来たものとの差に驚愕します。どちらを信じるかは個々の判断の自由ですが、右だ左だと決め付けずに、マスコミとは全然違う報道にも耳を傾け、目を開く態度が、どちらの言うことも鵜呑みにしないで真実を見極めていく訓練になると思います。その点で読むのはお勧めします。

誰の言うこともレッテルを貼らずに聞くことは大事だと思います。私はアメリカのタカ派や右派の話もよく聴いています。左の言うことばかりに耳を傾けてはいません。私は右でも左でもありませんから。アメリカの右派の話を聞いていると、今のアメリカが核攻撃にどこまで近いか肌で感じるのです。どこまで近いか?それも「知らぬは日本人ばかり?」 かもしれません。

by bs2005 | 2007-08-17 02:36 | 未知と無知  

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