或る16歳の少女との出会い
2007年 08月 01日
喧嘩もしない両親の仲は冷え切っていて、彼女は二人の愛から生まれたのではなく、たまたま間違って妊娠してしまったからだということ。出来てしまった以上、仕方がないから、彼女が16歳になるまで離婚をしないように取り決めがなされていたこと。それを聞いたとき、彼女は16歳だった。
彼女はその日から、自分が生まれたことで、両親が望みもしない結婚生活を続けなければならなかったことに、一人で罪悪感を持ち続け、苦しみ続けたのだという。そのことを今、私に話したのは、それを思い出させる他の辛いことがあったからだった。彼女はもう50歳をとっくに過ぎている。
彼女はいつも几帳面でしっかりしている完全主義者だ。いつも努力して頑張っている。隙を見せたこともない。ひとことで言えば、私とは正反対。典型的不完全主義、隙だらけの私には、ちょっと苦手な煙たい存在。距離を置いて付き合ってきた人だった。お互いに深い話などしたことがない。
彼女がそんなことを私にメールで話すことさえ想像もしていなかった。たまたま、それに関連して起きたことへの哀しさ、淋しさに耐えられなかったのだろう。相手は誰でも良かったのかもしれないし、外国人の私の方が話しやすかったのかもしれない。
その話を知って、私は彼女の中にその16歳の少女が、そのままそこに居るように感じて、その少女を抱きしめたくなった。目の前に居たら、50代の彼女をハグしていただろう。もう何年も前から知っている人なのに、本当は何も知らなくて、今やっと出会えたような不思議な感じに打たれている。
by bs2005 | 2007-08-01 10:00 | 徒然の瞑想