「俺はこのままで終わりたくない」
2006年 06月 08日
中越地震で被害を受けた吉谷、そこはおいしいコシヒカリの獲れる美しい棚田のある地域でした。棚田が見るも無残な姿になっても、高齢者ばかりの過疎の村、為すすべもなく荒れるままになって行くことに心を痛めた地元の田中玲太郎さんが、棚田を守ることに力を貸して欲しいと全国の人に訴えたNHKの番組を見て、全国からそれに答える人々が現れました。
その中で、この五藤さん(63歳)ー上のサイトの左にある「発起人はどんな人」の欄に五藤さんを初め、守る会の人達の紹介がありますーは、運送業をして暮らしていた自分の家を引き払い、吉谷に移住したのです。農業の経験は何もなかったそうですが、8年前に離婚して一人暮らし、自分を賭けられる何かを求めていたときに、この訴えを見て、これだと思ったとのことでした。
表題の言葉は彼が自分で書いて家に貼ってある言葉です。娘や孫が尊敬してくれる人間になりたいと言いながら、慣れない仕事ばかりで色々の苦難に向かっていく彼の姿は心を打つものがありました。豪雪の中、雪かきをしながら、「この大雪を乗り越えれば、自分は正真正銘の小千谷の人間になれると思って頑張っている。ここが試練の時。」という言葉も。
棚田の土は粘土質で、見た目には大した量でなくても、すごく重く、棚田を復活させる作業は並大抵ではありません。やっと復活させた棚田は雪解けでまた駄目になっていたり、自然のいたずらとの闘いは次々にやってきますが、五藤さんはひるみません。とても良い顔をした人でした。
この守る会には、移住まではしなくても、そういう「このままで人生を終わらせたくない」という思いで参加している人が他にもいます。それぞれの思いで、大変な労働を引き受けてやっている姿、とても素敵でした。株を動かすだけで暴利をむさぼろうとする人々の姿にうんざりしていた私には、何とも心強い元気をくれる人々でもありました。こういう人々が居るって本当に素敵なことですね。
「このままで終わりたくない。終わらせたくない。」---人生の折り返し地点を過ぎた(?)自分にとっても大事な姿勢を教えられた感じがします。
by bs2005 | 2006-06-08 07:00 | 忙中閑の果実