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「三ヶ月トピック英会話」

時々、この番組を暇つぶしに見ています。アメリカに長く暮らしているので、さすがに新しいことがとりわけある訳ではないのですが、いつも引き込まれます。それは英語の表現にある気持ちの違いを説明する大西泰斗(ひろと)さんの能力が、ずば抜けているからです。



たとえばmustは自分の気持ちの中からの圧力で、自分でそうしなくちゃと思うとき、have toは上司、世間、規則という外部からの圧力でしなくてはならない時に使う。

憧れの人に初めて「今晩食事をご一緒したいのですが」と誘う時の表現での、I hope we can have dinner tonight. とI hoped we could have dinner tonight.はどう違うかの説明もそうでした。過去形は丁寧文という紋切り型の説明を超え、話し手の距離感を表すものという例を挙げながら、感情をきめ細かく説明していて、実に分かりやすいのです。

それを実際に街を歩くネーティブの人に聞いた答も、実に興味深かったです。男性に訊くと皆、自分は最初の方を使う。その方が単刀直入で気持ちいい。後のだと最初からあきらめていじけた感じだ、と答え、女性は自分なら、後の方を使う。相手にノーという余裕を与えたいし、後で気まずくならないように、という答。男女の「異性を誘う」ということへの態度の違いみたいなものも感じて面白かったです。

最後に彼が言った「英語は直接的、日本語は婉曲というのは間違いで、英語を話す人間も気を使って話しているのだ、システムが違うだけだ」というのは、私が今までブログでも何度か書いてきたことであり、わが意を得たりという感じがしました。彼の教え方というのは、今までの英文法の教え方を完全に超えたものである感じがします。教える立場の人には特に見て欲しいです。

大人の英語、大人のコミュニケーションというものは、自分の要望をそのままぶつけるのではなく、相手に気を使いながら、距離をとって伝えようとするものだという締めくくりの言葉も改めて反省を促された感じでした。

by bs2005 | 2006-02-17 08:08 | 忙中閑の果実  

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