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医療者の持つ力

遠藤周作さんはこう書いてます。(『人生には何ひとつ無駄なものはない』より)


  医師や看護婦さんの患者にたいする姿勢や心くばりが病人の快復上、
  どれほど大事であり有効かを私自身の体験からお伝えしたかった
  からである。言いかえるならば私がその病院で受けたような医療者側の
  温かさは多くの患者にとって薬や手術と同じくらいの大事な治療方法
  であると私は言いたいのである。ー『生き上手 死に上手』

  患者の心理は敏感である。彼は病気の治療だけでなく、心の不安や孤独
  を慰めてくれるものに鋭敏になっている。わずかな医師の言葉や仕草の
  中にも、彼はこの医師が自分の心の不安や生活の心配までわかってくれて
  いるか、それとも病気だけしか関心がないかを微妙に嗅ぎわけるだろう。

  だから私は医学は科学の一つではあるが、たんなる科学ではないと思って
  いる。医学とは臨床に関する限り、人間を相手にする人間学でもあるのだ。
  医学という学を通してはいるが、医師と患者とには人間関係があるのだと
  いうことを絶対に忘れないでほしい。そしてその人間関係は医師と一人の
  苦しむ者との関係であるから、愛が基調にあってほしいと思うのは私だけ
  ではないだろう。ー 『春は馬車に乗って』

それをいつも忘れずにいるお医者さんだなぁと、いつも私が思っているお医者さんです。→「しゃがみこむ」

先生は今、新天地に移られたばかり。患者さんもまだ少ないとぼやいておられる。でも、こんな先生を患者が放っておく筈がないと私は信じています。前の病院を去る時には、患者に涙で惜しまれた方だもの。

by bs2005 | 2005-07-27 09:54 | 賛辞のあなた  

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