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chemo company

先日の記事で書いた三度目の癌にかかりながら、驚異的強さと明るさで前向きに乗り越えようとしているアメリカ人の友人が、友人達に呼びかけのメールを送った。

そのタイトルがchemo company, chemo は抗がん治療のこと、 companyは仲間とか同伴する友人とかいう意味になる。抗がん治療は苛酷で送迎が必要な場合もあると聞いていたので、送迎メンバーを募っているのかと思ったら全然違った。

抗がん治療最中の話し相手になって欲しい。一時間に三人までを限度に、シフトを組んで病院に来てくれるボランティアを募るというものだった。幸い、病院は家のすぐ近くでもある。彼女の果敢な姿勢には感動もしていたから行くことにした。昨日がその初日。

癌は両親とも罹り、兄弟もかかっている。再発のケースもあったがいずれも幸い癌で死ぬことはなかったし、手術後の抗がん治療は無用な癌だった。友人には何人か居るが、実際にそういうものに立ち会ったことがない。どうなるのか少し不安だった。

病院に着いたらますます不安になった。父は透析患者だったので、何度も透析には付き合っている。その姿が思い出されて切なくなった。チューブにつながれている彼女を見たら、亡くなった父の姿と重なって動揺しそうだ。

しかし、その心配は無用だった。彼女の治療の席に着いたら、彼女は相変わらず明るくにこやかで、もう一人の先客と楽しく語らっている。私もその会話に加わった。癌とは無縁な会話だが、色々のことに及んで興味深い。テニスの話、仕事の話、家族の話、旅行した世界中の土地の話、日本の話等々と話題は尽きない。

後からもう一人来た。その人はジャマイカ出身の中国人で、彼女がアメリカのボストンに初めて来た1960年代初めの差別のひどさの話、最初の一人が帰って交代に来た友人は、最近、きのこ同好会のようなものに入会し、そのフェスティバルでの話を面白おかしく話す。

仕事の時間が迫っていることも忘れて私は長居してしまった。まだまだ居たい楽しい意義深い時間だった。こうやって癌と闘っている友人の聡明さ、こうして寄り添うアメリカ人のボランティア精神のさりげない見事さを改めて思った。彼女なら、もう一度奇跡を起こせるかもしれない。そんなことを強く思いながら病院を後にした。

by bs2005 | 2010-01-30 01:57 | こんな英語表現  

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