何かがとても間違っている、、、

少し前に新型インフルかもと疑いがかけられた高校生の通っていた学校の校長が、新型ではないという結果に涙をこぼして安心している姿が報道されていた。今度の洗足学園では、感染した女子高校生が「申し訳ないと伝えて欲しい」と言っていたと学校の関係者が涙ぐんでいた。まるで犯罪でも犯したかのような恐縮ぶりだ。

彼女たちはアメリカで食事以外マスクを外さなかったし、極力感染予防に努めていたという。そうだろう。模擬国連に参加するような真面目で優秀な生徒たち、きっと周りから浮き上がるほど真面目にやっていたのだろう。そこまでしたって罹る時は罹る。罹らない時は罹らない。予防の徹底を宣伝をするのは良いけれど、いいかげん、罹る時は罹るということも徹底した方がよい。

そうでないと、罹った人間はこんな風に肩身の狭い思いをすることになる。何度も言うけれど、生半可なことでは感染を防げないから、このインフルエンザは怖いのだ。完全に防ぎ切れるものではない。罹るかどうかは半分以上、運みたいなものだ。

私の娘はアメリカの感染都市に住み、公共の交通機関を利用して、毎日、人込みの中を観光客も沢山通る街のど真ん中のオフィス街にマスクもせず、通っている。回りも同じだ。そして彼女の知る限り、新型インフルにかかった人は居ない。知人の知り合いにも居ない。皆、元気に通勤している。

私の住む町もそうだ。彼女の居るところほどじゃないけれど、感染者は住んでいる。でも、町でマスクをしている人間は居ない。行事もお祭りも例年通りにやっている。私も回りに新型インフルに罹った人を知らない。友人、知人の間でも聞かない。勿論、罹って申し訳ないなんて話はどこでも聞いたことがない。

どこに居たって、マスクをしようが、予防に励もうが、罹る時は罹る。罹らない時は罹らない。罹ったことにこんなに肩身の狭い思いをしなければならない日本、まるで魔女狩りのようにさえ見える。アメリカとは大違いだ。

こちらに住む私の友人の日本のお母様は長期入院している。もう80代半ば。彼女は頻繁に帰国してお見舞いに行っていた。先日もその予定だった。でも、キャンセルを余儀なくされた。お母様の入院している病院から、アメリカからの方は病院内に入っては困ると断られたのだという。

彼女は新型インフルには罹っていないし、元気そのものだ。発熱もしていない。彼女の周りにもそういう人は一人も居ない。でもそういうことだそうだ。アメリカに住む人間はそれだけでクロということなのだろう。

彼女のお母様は今すぐ命にどうのこうのということはないけれど、高齢だからいつそうなるか分からない。アメリカに住んでいる人間は病院に居る親の死に目にも会えないことになる。圧倒的大多数は新型インフルと無縁に暮らしているというのに、、。この論理で言えば、その内、神戸在住の人も病院での臨終に立ち会えなくなる。

今、医療機関ではマスクがなくなっていて、診療にあたる人間がマスクがかけられなくなる事態が早晩来るかも知れないという。過剰反応は禁物だけど、閉鎖された空間の中ではマスクはした方がしないよりは良いという。ましてやそういう閉じられた空間で発熱した人間を相手にする医療者には、心理的にも絶対必要なものだ。完全に安全を保証するものでないとは言え、無防備にさらされるのは気の毒でしかない。マスクの効用に疑問があっても、マスクの不在は医療拒否に繫がりかねない。

それなのに、マスクは売り切れて7月まで手に入らないという。その頃には新型は収まっているだろう。医療機関にはこういうことが起こらないように、公的機関は医療機関に渡る分は確保しておくべきだった。30年近く前のトイペ騒動を思い出す。マスクが安全を保証するものでもないし、ここまで必要かどうかも疑問なのに、町中がパニックを起こして、肝心のあるべき場所にマスクがない。医療関係者どころか、罹った人間こそマスクが必要なのに、下手をすると罹った患者にもマスクは入手困難になるかもしれない。

今度の新型インフルの日本での騒ぎ方を見ていると、何かがとても間違っている感じを否めない。そして、それは日本の本質的あり方から来ているように見える。科学的に現実的に対応できない。感情的、非科学的に対応して肝腎の現実的対応はお粗末。

政府は当初、新型インフルを強毒性のものとして対応していたが弱毒性のものへの切り替えがうまく行っていないのだと言う。水際作戦も強毒性のものとしての対応だったと言い訳がましく言っている。

弱毒性のものさえ食い止められなかった水際作戦、そして国内感染の事態になったら、医療拒否だの医療体制の不備が目に付くばかりか、医療関係者はマスクさえ充分でないという。当初の想定通りの強毒性のものだったら、今頃日本は圧倒的な死者を出しているだろう。

今回の新型インフルへの対応、国内体制の不備は徹底的に反省するべきだし、マスコミ、報道のありかたも反省するべきだ。そうでないと、来るべき強毒性のインフルエンザに日本は現実的な対応が出来ないだろう。弱毒性のものに対してさえ、こうなのだから。
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by bs2005 | 2009-05-22 00:08 | 異論・曲論  

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