「水際作戦」の日本性

私の住んでいる市内で、家から車で5分ほどの学校が新型インフルエンザ(swine flu)の為に閉鎖になった。その為、その周囲の学校もいくつか閉鎖になったという。

こう書くと、日本の皆さんは、さぞ緊迫した雰囲気を想像されることだろう。でも、町にはそんな雰囲気は一切無い。マスクを掛けた人間も見かけない。私が今度の騒ぎでマスクをしているのを見たのはたった一人。それも日本人。まあ先ず見かけない。普段と全然変わらない雰囲気だ。緊迫感はゼロである。発熱センターなどというのも聞かない。皆、何も気にせずそのまま医者のところに行っているのだと思う。ニュースなどでの手の徹底した洗い方の指導なども無い。

狂牛騒ぎのときもそうだった。日本では牛丼が消えたという時に、本家のアメリカではみ~んな平気で血のしたたる牛肉を食べていて、控えているという話を聞いたことがない。日本人以外からは、、、。だから、今のこの全く無頓着な雰囲気はもう驚く気もしない。こちらも無頓着に過ごしている。手だけは日本のテレビ番組で見た洗い方で普段より洗うようにしているけれど、、。

メキシコからの便も一切止められていない、どころか検疫をやっているという話も聞かない。ニュースでもやってないので、そんなことはしていないのだろう。皆、垂れ流し的に入国しているのだと思う。時、既に遅しと云うことかもしれないが、メキシコだけで発生していた時もやってなかったと思う。メキシコからの便を止めないことに疑問を呈するキャスターは居ても、それに応じる雰囲気は無い。せめて検疫で、罹った人がこれ以上そのまま入国しないようにしよう、などというのは意見すら聞かない。

そもそも、水際作戦、などという発想が無いのだと思う。国境で食い止めると言ったって膨大すぎる。飛行機は勿論、船だって車だって世界中のあちこちから、国内のそこら中にやってくる。とてもやってられない。

水際作戦というのは、島国で出入り口もある程度限られた国にしか出来ないことだろう。イギリスでさえやっているのかどうか?水際作戦をこんなに本気で大々的に真剣にやっている国は、ひょっとすると世界で日本だけかもしれない。

その日本だって今までは何とかやっていられたかもしれないけれど、これが世界中に感染が広がって、一日に大量の便を扱わなければならなくなったとしたら、人員的にも予算的にも時間的にも無理だろう。

感染国だけを厳選して検疫したって、いろんな国を経由して日本には感染していない国から入る人も居るだろう。そもそもアメリカでメキシコ便を止めることすらしないのは、このインフルエンザの発生がずっと前で、メキシコ国内での封じ込めには既に失敗しているからでもあると思う。

専門家によると目下の所は弱毒性なので、普通の風邪と思って治ったからと平気で外国に出かけている人も結構居るだろうと云う。そうすると、そもそもこの水際作戦の有効性も非常に疑問だ。通用するのはごく初期の短期間だけのことだろう。

そして今回たとえ仮にそれに成功しても問題なのは、現段階では弱毒性のインフルエンザに留まっているようだが、これが豚や他の動物と人との間を行き来している間に強毒性になり得るということだ。それは防ぎようがない。そうなった時に、今回の水際作戦が成功して食い留められた日本には、弱毒性の段階で免疫を持てた人間が一人もいないことになる。

免疫がどれほどの効果があるかに疑問はあるにしても、全く無い人間の方が強毒に変わった新型インフルエンザへの抵抗力は弱いだろう。下手すると凶暴化した新型インフルエンザに対して、日本の国民は世界でもっともひ弱な国民になるかもしれない。

その頃には世界中に広がっているだろう。生半可な水際作戦では太刀打ちできない。そうなると、その発想では日本は外国からの便を一切立ち入り禁止にする位しか手が無くなる。第二の鎖国?ごく短期間ならともかく、現代社会で資源もなく食料の自給率も低い日本は立ち行かなくなるだろう。

こうして考えると、水際作戦というのは鎖国主義的、島国的、ややレトロな発想に思える。グローバル化した世界では継続性、有効性、有意義性に非常に疑問がある。アメリカのこんな無頓着さが良いとも思わないけれど、、。

追記:ヒロさんから、とても興味深い記事をご紹介頂きましたので、追記でご紹介します。私の記事では舌足らず(長文なのに・汗)だったと思いますが、この方は今の水際作戦の限界、欺瞞性をとても正確に伝えていると思いました。

「空港レベルで食い止めるやりかたは、塹壕一本に全てを賭ける大昔のやりかたで、縦深を考慮していない。」「ある意味破られて当然の検疫ライン」と医療の専門家として言い切っておられることに快哉を叫びました。是非ご一読を。ヒロさん、有難うございました♪

弱毒性と既に分かった段階で、弱毒性である間に一刻も早く水際作戦は切り替えるべきだと思います。強毒性に変わるまであまり時間が無いかもしれないのですから、そういう勇断が欲しいです。そうでないと、水際を突破された日本は国内で迎え撃つ体制が最も弱い国の一つになるでしょう。現在ですら診察拒否が起きているそうですから。


更に追記:「勝間和代オフィシャルメールマガジン 第27号 (5/6発行) ~ニューヨークから帰ってきました~」より抜粋

ニューヨーク出張から、無事、帰ってきました。ちょうど、豚インフルエンザが騒がれるか、騒がれないかの時期からスタートし、渦中のさなか、成田空港では1時間半ほど検疫で足止めを食らう旅でした。

豚インフルエンザについて、日本の過剰報道のようなことはアメリカでは何もなく、道ゆく人は誰もマスクなんかしていないし、逆に、日本の過熱ぶりがアメリカでニュースになっていたくらいです。大陸国と島国の違いをつくづく感じた旅でした。

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by bs2005 | 2009-05-05 04:18 | 異論・曲論  

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