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Tim Russert 氏の急死を悼む

日本の方には余り知られていないニュース・キャスターかと思いますが、NBCの看板キャスターの一人、Tim Russert 氏58歳という若さで今日、心臓発作の為、急死しました。

前からテレビで見て顔は知っていたのですが、ちょっと前まで名前を聞いて彼と分かる程、馴染みのあるキャスターではありませんでした。顔と名前が一致するようになったのは、民主党の予備選が始まってから、選挙報道を追いかけ続けてきたからでした。彼は”Meet The Press”という番組を持っていたのと同時に、色々な報道番組でゲストとして出てきていたり、予備選の討論会の進行役なども務めていたからです。

そして最近でした。私はこの人、好きだなぁと思い始めたのは。彼には一目で人を惹きつけるスターのオーラのようなものは無く、どちらかといえば地味で、派手なスタンド・プレーもありません。でも、ずっと色々な報道を見、色々なキャスターを見ている内に、彼の誠実さ、バランスのとれた見方、いつもにこやかで穏やかなのに、必要なときは、きちんとどんな権威も恐れず、鋭い質問をし、そういう時でも相手の尊厳を傷つけるような態度は絶対にとらない優しさ、常に真実の追求を第一に求める彼が輝いてみえるようになってきたのです。

彼は他の多くのキャスターのように、居丈高な追求をしたりしませんし、これ見よがしのスタンド・プレーもなく、無礼なところも、傲慢なところも微塵もなく、鋭く真実に迫ることが出来る人でした。その為に彼は資料にあたることでは誰にも負けない努力を払い、常に正確で偏らない報道を彼の誇りにしていたことと思います。

彼を好きになり始めたのは最近なので、彼に、二冊のベスト・セラーがあることも知りませんでしたが、両方とも家族、特に父親についての本だったそうです。いかにも家庭第一の、実直な彼のイメージにぴったりの本だと思いました。

彼は父親が子供に与えることが出来る最も貴重なものは、子供と過ごしてあげる時間だと言っていたそうで、職業上、派手なパーティに顔を出すキャスターが多い中、家族との時間を大事にして殆ど出たことが無いそうです。彼自身、ごく庶民的ブルーカラーの父親の家庭の出身で、大学の学費の足しに働きながら大学に行っていた等々を追悼の言葉で初めて知りましたが、いかにもそんな感じの地に足のついた感じの人でもありました。

数日前Morning Joeに出てきた時、スタジオの隅で出番を待っている彼を映しました。その時、とても疲れているように見えたので選挙報道の疲れかなと思ったのですが、もうその頃から兆しはあったのでしょうか。彼の姿やバランスの取れた落ち着いたコメントをもう聞けないのは寂しいです。本当に惜しい報道人を失ったと思います。

Tim Russertさん、あなたの居なくなった穴を埋められる人が居るでしょうか?地味で穏やかな貴方がこんなに存在感のある人だったことに改めて驚きの念を感じています。一緒に仕事をしていた誰からも尊敬され、好かれていた人であることが、テレビの中の人々の悼みの言葉の真摯さから伝わってきます。心よりご冥福をお祈りします。

CNN記事
In Memory of Tim Russert (video)
Meet the Press 追悼特別版(video)

追記:ヒロさん「Tom Brokawという人も必死で涙をこらえてレポートしていますね」とYouTubeのURLを教えてくださったので、こちらに追記します。ヒロさん、有難うございます♪

どちらかといえば、このTom Brokawの方が、端正で洗練された雰囲気で人気は高いキャスターだったと思います。こういうキャスターに比べるとTim Russert は華に欠ける感じがして、最近まであまり彼の凄さ、素晴らしさが分かっていなかったんです。分かり始めたときにはもう彼は居ず、、(涙)。

この放送でも、本当に彼の死を悼んでいるのがひしひしと伝わってきますよね。他のキャスターが亡くなっても、彼ほど惜しまれてこんなに長時間の追悼番組が組まれるかなぁと思ったりもしました。彼の所属していた局だけでなく、ニュース番組だけでなく、バラエティ番組などでも、彼の死を惜しむ声があちこちで沢山聞かれました。


by bs2005 | 2008-06-14 08:57 | 日米雑記  

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