セクシーさに勝つ

タイトルから見ると柔らかい話のようですが、ここずっと頭に引っかかっていた言葉です。そもそも、これは、伊勢崎賢治さんが「戦争を無くして行く為には、敵のセクシーさに勝つのが一番の課題だ」と語っていたことからでした。

彼は世界の戦地に出かけて、紛争を解決している人ですが、紛争の解決の為には武装してでないと、戦地に入れないので平和を作り上げるのは綺麗事ではないと語りながら、同時に、しかしそういう武装は戦争させない為の武装であるけれど、敵(戦争に向かう勢力)の方がセクシーだから、なかなかそういう勢力に勝てない、というようなことを話されていました。

この言葉が私が日ごろアメリカで感じている事のど真ん中を衝いている感じがしたのです。

私の世代だと、スティーブ・マクイーンの『大脱走』、ちょっと前だと、トム・クルーズの『トップ・ガン』の映画に象徴されるように、アメリカ人の中には祖国の為に立ち上がって、正義と平和の為に闘う軍服姿のりりしい姿に惚れ惚れとしてしまうような感覚が根強くあると思うのです。そういう姿の強烈なセクシーさが圧倒的な力を持ってしまっている、、、。

日本も大東亜戦争の時は、そういうヒロイズム、セクシーさに踊らされた部分があったと思いますが、完膚なきまでに惨めな敗戦の惨状をくぐって、或いはそういう世代から直接話を聞いて育った世代には、戦争は悲惨で醜いものという意識があると思います。そういう世代でも例外はありますし、残念ながら親の世代も戦争を知らない世代には、戦争をヒロイズムでセクシーと受け止めてしまう世代も育ちつつあるようですが、、。

アメリカでは、ベトナム戦争、9・11などがありながらも、そういうセクシーさに充分太刀打ちできる感性が育っていない。そこにアメリカの一番大きな問題があるように思います。パール・ハーバーとは比べ物にならない傷跡を受けた国が世界中にあるのに、未だにパール・ハーバーが一大惨事のように大騒ぎする感覚。それを日本人の私には強く言えないところが辛い所ですが、、。

クラスター爆弾がやっと禁止の動きになってきたようですが、原爆、核実験の汚染、世界中にある不発弾、枯葉剤の後遺症、等々の後始末をもっとアメリカは率先して、国民全体でやる必要があるように思います。現地に教育の為、子供達を派遣することを必修とするとか、国民全体のプロジェクトとして自分たちのやった戦争の傷跡の後始末をさせること、それがセクシさーに勝つ有効な道のように思います。

お金は掛かっても、膨大な軍事費を考えれば、それが世界の平和の為にも、アメリカの安全を守る為にも、一番遠回りのようで一番近道のようにも思いますが、アメリカの為政者達は、そのセクシーなヒロイズムを利用しているので、そんなことをする気配は全然無いのが歯がゆいです。

イラク戦争のドロ沼化の経験から、今度こそセクシーの正体を見届けて欲しい気持ちで一杯ですが、アメリカの兵隊が4000人以上亡くなったことにしか気は行ってないのです。相手の国の普通の人々の惨状への想像力に欠けます。セクシーの目くらましで見えないのでしょう。

真にセクシーさに勝つことは大変ですが、そこからでないと戦争は無くならないような気がします。次期大統領がオバマになったとしても、彼にもその限界はあるように思います。ただ、彼はそういう限界に気づいて行く可能性を秘めているようにも思います。ヒラリーには全然無いですが、、。明日の予備選の終了前夜を迎えた今、オバマ氏が民主党の候補になったら、その可能性に賭けたい切実な思いがしています。
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by bs2005 | 2008-06-03 14:40 | TON同盟  

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