NHKはどこへ行くのか?

先日、日本では1月27日に放送したというNHKスペシャルで日米同盟を扱ったものを見て、唖然としてしまった。こんなに一方の立場だけを無批判に垂れ流し的に放送してよいのだろうか。



NHKは今までは憲法、平和に関してはむしろ保守層からは偏向と言われる批判を受けてきたように、誰からも中立と認められる立場の獲得は難しいだろうけれど、報道というのは、そもそも時の権力の言い分に対峙する姿勢がなければ意味がないのではないだろうか。そうでなければ御用報道になり果ててしまいかねない。

この番組では呆れるほど一方からの報道しかない。一体、NHKはどうしてしまったのだろうか。どこに行こうとしているのだろうか。太平洋戦争の頃の報道のようになる兆しなのだろうか。暗然としてしまった。一方的であるという理由を以下に挙げて行きたい。

先ず第一に集団防衛を導く前提になっているミサイル防衛の話。番組によると、日本はミサイル迎撃に向かって、日本の本土に向かってくるものがどの国を狙っているか分からない間は迎撃しない。結果的に第三国(アメリカ)向けのものを打ち落としてしまう恐れがあり、今の憲法9条と抵触するから、どこ向けのミサイルかの判定は非常に困難であるけれど、日本向けと分かるまで行動を取らないという。

米軍関係者は、当然ながら、何て能天気なことを言っているのか、一秒を争う段階で、分かるかどうかも不明、分かったとしても分かってからで間に合うと思うのかと言っている。

それ自体は至極もっともな言い分だ。分かってから行動、なんて、何て平和ボケの机上論をぶっているのだと私でも思う。どこの国を狙ったものか分からなくても、日本の本土に危険がある以上、それを迎撃するのは正当防衛のようなものだと思う。既に合憲として存在している自衛隊を持つ日本が、自衛権を行使するのは当然のことで、今更、憲法九条との抵触だの集団防衛を持ち出すまでもないことだろう。領空侵犯に準じるものと規定して構わない筈だ。

ミサイル迎撃設備をそもそも導入するかどうかの別次元の問題があるけれど、導入を前提にするならば、日本の「分かってから」という言い分は国内的にも通用しないのではないだろうか。そんなあやふやな、分かるまで行動が取れず、それからでは間に合わないようなものをそもそも今、何故導入するのかという話にもなる。

ミサイル防衛システムに関しても、アジア諸国の鼻先で日本が持つことのアジア諸国の意見は取り上げられていない。日本上空を通過する自衛に限ってという前提で求めるアジア諸国の理解と、番組で取り上げられた一方的な言い分の延長線上にある平和憲法をかなぐり捨ててその設備を持つことへの理解のレベルは、当然違ってくる筈だ。

番組ではそういう反論、問題提起は一切紹介されない。どの国へ向けたものか分かってからでは間に合わない。だから、集団防衛が必要という短絡した展開への批判的視点は一切無いまま、どんどん話が進む。そして、給油なんかじゃ大して役に立っていない、軍事的行動に参加してもらわなければというアメリカ政府の弁、国防省の弁、そういうことを言われている現状を恥じる自衛隊の弁、防衛相の弁などが、次々と紹介される。

日本が戦争放棄している国であるということ自体がアジアの安全保障になり、最大の軍事貢献になっているというような見解は、一切紹介されない。平和憲法を放棄してアメリカと軍事的連携を持つことへの現実的反対論は一切紹介されない。国際貢献が軍事的貢献を直ちに意味しないという反論や、それを証明する活動も一切紹介されない。

報道の影響を考えると、この番組構成には大きな問題があると思う。素直な人(たとえば昔の私のような・汗)が、あの番組だけを見たら、ああ、「国際貢献」を日本もしなければ日本は国際的孤児になる。、その為には戦争放棄なんて言ってないで、日本も本格的に軍備して積極的に軍事行動に関わらなければと、信じ込みそうだ。

番組の最後に、レポーターは日米同盟の行方は真剣に考えないと、とんでもない方向に流されてしまいかねないというようなことを言っていたが、この番組自体がその方向に流してしまう危険なものだと思う。一つの番組の限られた時間の中では、強調点がどちらかに偏るのは仕方ないにしても、違う立場、意見を切り捨てない精神的バランスを保った構成が必要な筈だ。

一体NHKはどうなってしまったのだろうか。一昨日CNNではとても中身の濃い番組を放送していた。そこで論じられ、提起されていたアメリカの目指すべき方向は、NHKの番組が伝えていたアメリカの立場なるものとは全く違うものだった。NHKはアメリカの現政権の言い分だけを伝えていたのだから当然といえば当然だけど。

CNNで語っていた内容は今までのアメリカ報道の主流の見解を、内容的に超えるものと私は感じた。今、アメリカでは流産の恐れを孕みつつも新しいうねりが生まれつつある。現政権のあり方、今までのアメリカの世界におけるあり方そのものを問ううねりが、、。

CNNのこの番組での論議や、未知数でしかないオバマにこんなに熱狂する人々がいること、今までの共和党の流れからははみ出しているマケイン議員が、共和党支持者達の激しい反対にあいながらも、共和党の大統領候補として選ばれそうな状況、等々はその証でもあると思う。

今の段階でアメリカの立場としてだって一方的でしかない一部の人間の言い分だけを取り上げるNHK, 一体全体どこへ行くつもりなのだろうか。

(CNNの放送の話はまた別に取り上げます。目下、リハビリで忙しくて時間がないので、、。この記事もゆっくり時間かけられなくていつも以上にお粗末ですみませんが、番組のあまりの一方性に黙っていられず、、。あ、リハビリの方は忙しいけど順調です。^^;)
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by bs2005 | 2008-02-14 03:48 | 異論・曲論  

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