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アメリカ流の「ノー」

ブッシュ大統領が「拉致問題の重要性を理解している」「被害者のことを忘れない」等々と言ったことで、政治家もマスコミもまた空しい期待をしているようですね。でも、それは何も意味しません。




今までただの一度でも、彼がはっきりと「拉致問題の解決がない限り、テロ指定解除は行わない」と明言したことがあったでしょうか。本気で思っていたら、とっくにそう明言しています。本気でそう思っていたら、北朝鮮に対してもその立場は明確にしてきた筈です。そうして来ていれば、北朝鮮の拉致問題への態度も今までとは全然違っていた筈で、あんなに居丈高なものになっている訳がありません。

イエスかノーかの答しかないときに、はっきり明言しないで抽象的に好意的なことを言って済ませる、それが明言して関係を壊したくないときののアメリカ流の「ノー」です。拉致問題の解決なしで解除するかしないか、答は一つしかない。それに対して明言していない、「イエス」と明言しないのがアメリカ流の「ノー」です。本音と建前を使い分けるのは日本だけじゃないと言い続けてきたように、彼らだって、はぐらかすのです。

イギリスのサッチャー前首相も言っています。「(外交について)故意に嘘をつく必要はありませんが、どちらともとれるこをと言ってはぐらかす必要はあるでしょう。」と。これが「diplomaticであれ」と幼い頃から叩き込まれている彼らの「ノー」です。ブッシュ大統領はただdiplomaticであるに過ぎません。

(注:diplomaticは 「外交(社交)辞令の上手な」「人の扱いの上手な」という意味があります。アメリカの子供は小さいときから、Be diplomatic.と言われて育つのです。)

今度のブッシュ大統領の発言に意味があるかのような報道、それで拉致家族をぬか喜びさせたようとしたり、空しい期待を持たせようとしているのが気の毒で見ていられません。胸が痛みます。

日本がするべきことは、給油なり米軍基地なりを、切り札もしくは人質にしてなり、何でも良いです、知恵を振り絞り、総動員してはっきりと「拉致問題が解決しない限り、指定解除はしない」という明言を獲得することです。

日本の為にお願いするのではなく、拉致問題に誠意を持って対応しない限りは、北朝鮮は非核化も本気でやる気はない、拉致問題はそれを図る指標としての意味を持っているのであり、それ抜きにはアメリカの望む非核化も実現できないことをはっきりと提示するべきです。拉致問題を前面に出すことはアメリカの為になることなのだと納得しない限りは、アメリカははぐらかし続けるでしょう。

今までよりも理解を示しているように見えるのは、給油問題、基地問題という懸案があるからに過ぎません。具体的には一つも進展していないのです。ブッシュ大統領は何も意味のあることを言ってないのです。日米同盟が(アメリカの)安全と(アメリカの)自由と民主主義にとって必要なものであるということしか、、。歯がゆいばかりです。

by bs2005 | 2007-11-17 11:13 | 異論・曲論  

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