日本が敗戦で失ったもの

憲法9条は絶対に失ってはならないものだと思う。しかし最近、憲法9条が日本人に与えた負の遺産とういうものも感じない訳には行かない。それは一言で言えば、依存の精神が染み付いてしまったことだ。独力では国を守れないという怖れからアメリカの核の傘に入り、アメリカを頼りにする感覚が身にしみこんでしまった。





その意味では、直対応ながらも、日本の国は自分で守るのだという主体性、自立を求めて憲法9条の破棄、軍備強化を訴える人々のメンタリティも全く分らないわけではない。日本が軍事力で守れる国ではないという透徹した覚悟と、現代という時代が軍事力では何も解決できなくなった時代であることへの理解が根本的に抜けているという致命的な欠陥はあるけれど。

現在、給油継続を巡って、国連に謝意決議までおねだりして継続を図ろうとする人々には、外国が日本をどう思うかという発想しか無いようだ。外国に見栄も体裁もなくすがりついて、自国の防衛を図ろうとしているようにみえる。そこにあるのは外国に見捨てられたらどうするという怖れだけだ。

元々、時限立法で決めたことだ。日本が日本独自の判断で継続を打ち切るのに、どこの国からも文句を言われる筋合いは無い。内政干渉も甚だしい。それを謝意決議のおねだりで、自分から内政干渉を求める政治家の姿はあまりに情けなさずぎる。日本独自の国際貢献の形を示して行けば良いことだ。独立国としてのプライド、独立国の政治に関わる人間であるという誇りは一体どこにあるのか。こんな政治家を見て育つ子供達が、どう自分の国に誇りを持てば良いのか。

櫻井よし子さんを先頭(?)とする勢力は、あちこちの講演で「国際貢献はお金を出すだけでよいのか!」という恫喝をソフトな容姿にくるんでやっているらしい。総裁選の時にもこのセリフはよく両候補者から聞かれた。本人達は無自覚なのだろうが、外国に背を向けられたらどうするという怖れからの発想でしかない。日本は世界にどういうメッセージを発信していくべきか、日本独自の立場から世界にどう係わり、世界をどういう方向に進めて行くのかという日本発の自立した視点が全くない。

お金を出すだけで良いか?という問題提起をしたら、答は良くないに決まっている。しかし、お金じゃなければ軍事力という発想は全く短絡している。何度も言うけれど、アフガンの中村さんの活躍をモデルにした形での国際貢献も有りうる。アメリカの尻馬に乗っかって注油していればテロが解決するのか?6年間、少しでも解決に向かって来たのか?答は断じて否である。

最近NHKの番組でオーガニック・コットンをインド・バングラディッシュで栽培し、農薬で危機を迎えている土壌を救出し、付加価値を持つオーガニック製品を作ることによって、搾取労働の貧困から民衆が抜け出られるように環境と公正貿易を目指すインド系英国人女性が紹介されていた。これも一つの強力なモデルになる。しかし、日本の銀行からは快い援助が得られず、既に5億の負債を抱えているという。自衛隊の給油で6年間にかかった総費用(人件費を含めて)のたった120分の1の金額なのに。

お金だって生かし方だ。死に金を幾ら費やしても問題の解決にはならない。彼女のようなお金の使い方の方が、お金だけとどう差があるのか分らないような油を提供するより、はるかにテロの根本的問題、貧困、格差の解決に近い。勿論、こういうことならばお金だけでなく色々な支援あるいは協力の形があるだろう。柔軟な発想を必要とはするが、、。

そもそもアメリカが押し付けた憲法9条であるからこそ、それを逆手に取って他のアメリカの同盟国には出来ない国際貢献の形が日本にはある。最も有効で平和に繋がる形が、。日本が自分達に出来ることを主体的に考えていけば、形は何であれ、いくらでも違う形が見えて来る筈だ。お金か油(=軍事力)かという下らない二者択一ではなく、、。

依存の精神、怖れだけで考えるから何も見えてこない。アメリカ頼りの与党、与党への反対だけに依存する野党、庶民も政治家任せ。自立した発想で主体的にどうするのか真剣に考えている人は呆れるほど僅かだ。誰も彼も、上から下まで、右から左まで人任せ。自立の方向に人々を引っ張る哲学もなく思想家もいない。

大阪大学学長の鷲田清一氏は、「哲学は、人間がそれなしでは生きていけないものについて考えを突き進め、問いただしてくものだった。それが書斎の中で書物を相手に文献批判をするような学問になってしまった。世界について直に語る、本来の哲学の息吹を回復させたい」(日経新聞・2007年7月15日) と語る。

自立した精神からしかそういう哲学は生まれない。そういう哲学を持たない政治家の姿はあまりにも醜悪だけど、今の日本の土壌が生み出すものに他ならない。自分の足で立つ、そこから自分の頭で考える。そういう自立の精神、それが日本が敗戦で失った最大のもののように思える。現在問題になっている給油問題には、日本が、自立した精神を取り戻す道に歩み出せるかどうかが懸っている、と言ったら過言だろうか。真の愛国心は、真に自立した国だけが味わえる贅沢である。
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by bs2005 | 2007-09-27 04:52 | TON同盟  

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