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君子豹変す

父は一生現役で、自分の信じた道を生き抜いた人である。その意味では立派に一貫性を保っていた人だ。最初にこれを断っておくのは、日常生活では、実に色々くるくる言うことが変わっていたからだ。



テレビに出てくる政治家や評論家でも、褒めちぎっていたかと思うと、次に出てきたときにはぼろくそだったりする。逆の場合もある。両極端に行ったり来たりすることもある。細かいことは忘れたけれど色々のことで、「え~?!この間と全然逆のこと、言ってな~い?」という会話がよくあった。

その度に父は澄まして「君子豹変す、よ」と言ってカラカラ笑っていた。

子供心に「な、何て無責任な。笑っている場合か。」と内心思ったけれど、父は余りにケロリとして朗らかなので、その度にそんなものかと納得(?)させられていた。納得できなかったのは、「君子豹変す」の言葉の方だ。

悪い意味では上に立つ人の気まぐれ、勝手さ、良い意味では、君子=立派な人には豹変出来る位の柔軟性があるのだとあったけれど、どうしても悪い意味の方が理にあっているような気がしてしまう。私が民だったら、そんなにくるくる豹変する君子に附いて行きたくない。

ずっと釈然としないで来たその言葉だったけど、最近は正しいと思えるようになった。豹変できるからこそ君子で、凝り固まるのは君子ではない。豹変出来る人というのは、傍目や行きがかりを気にせずに、リセットが出来る人なのだろう、と。今はあの父の自由さが懐かしい。

by bs2005 | 2007-09-08 01:42 | 待夢すりっぷ  

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