中村哲医師がテレビで語ったアフガン平和への道

Insight & Foresightの8月25日放送で中村哲医師が出演していました。中村さんはかなり疲れているように見えてちょっと心配になりました。中村さんの英語は少し分かりにくかったのですが、理解した範囲でお伝えします。



アフガンの国民の90%は農民で都市ではなく辺境で暮らしている。旱魃が一番大きい問題で、そのため国民は飢えかかっている。背に腹は変えられないので、乾燥した土地でも育てられるケシ栽培をする農民も多く出ている。生きるためには他の手段が無いからだ。

自分が灌漑工事をしたところでは収穫が出て、多くの難民が戻ってきて農業をやっている。そこでケシを作ろうとするような農民は居ない。全ての問題は旱魃に存在する。その問題を解決すればアフガンの問題は基本的に解決する。生きていけないからアメリカ軍に雇われたり、タリバン兵になったりして殺しあったりしている。

そもそもタリバンというのは特定の組織を指す言葉ではなく、学生という意味の複数形に過ぎない。生きていけるようにさえなれば平和な国になれるのに、アメリカの軍事行動で多くの市民が巻き込まれ犠牲になり、反米感情は凄く強くなっている。軍事行動でアフガンが良くなることはありえない。それに自衛隊が参加する意味もない。目下のところはアフガン国民から見えないところでの給油活動だから、日本に対しての悪感情は持っていないが、これがアフガンの地で軍服を着て米軍と一緒にということになったらガラリと変わってしまうだろう。旱魃の問題を解決することがテロの解決に直結している。

自分の所属するNGOは小さい組織なので、こういう形で効果を挙げられるということが伝わりにくい。また他の大国のNGOは農村ではなく、都市に集中していて効果を挙げていない。さらに誤った情報がはびこっていて、子供達が勉強していた学校がタリバンの巣ということで爆撃を受け犠牲者を出したりしている。真実が伝わらないことが一番の問題だ。

誘拐された韓国のボランティアの人々も正しいアフガンの理解に基づいて、アフガンの人々と理解しあった形での活動を行えていなかった。私は農民と一緒に暮らしていて、お互いに完璧に理解しあっているので、身の危険は全く感じてない。正しい情報と正しい理解が不可欠である。

とにかくアフガンの国民だって皆平和を望んでいる。彼らに必要なことは食料生産の出来る国にしてあげることで軍事行動には何の意味もないだけでなく逆効果しかない。


至る所乾き切った大地の中で、中村医師が灌漑を行った所だけが豊かな水と農作物が実って印象的な美しい姿でした。あれが本来のアフガンの姿なのだと思います。

中村さんの疲れた様子で振り絞るように語る姿に、政府は何故最もアフガンの真実の状態を知っている中村さんから話を聞こうとしないのだろう。それに従った本当にアフガンを平和な国に出来る有効な策を選ぼうとしないのだろう、と思いました。アフガンの平和はアジアの平和、結局は日本の安全にも直結する問題なのに、アフガンの人々が真に求めているものを見ようとしないで、アメリカの尻馬に乗った政策を延長しようとすることは怠慢、傲慢を超えて犯罪的に思えます。

辞任を明らかにしている小池防衛相、任期切れ直前に何故外遊したのでしょう。しかもパキスタンに行くのなら、何故アフガンにも行かないのでしょう。アフガンの国民と直に話そうとしないのでしょう。治安上不安でそれが不可能ならせめて中村さんの話を聞くべきではないのか?本気でアフガンの平和をどれほど考えているのか?ただ自衛隊の海外派兵の実績作り、アメリカから高得点をもらいたい為だけのテロ対策としか思えません。

民主党は延長阻止に本気で取り組んでもらいたいです。そして民主党の延長反対を書生論、観念論、理想論などと決め付ける人々は、アフガンの実態をもっときちんと学んで欲しいです。軍事行動にどういう意味があるのか、どちらが書生論か?

同盟国がすべきことはどうしたら本質的に平和が得られるか、その有効な策を伝えることで、無効どころか逆効果の政策に盲従することではない筈です。アメリカだってテロの恐怖の為に頭に血が上っていますが、国民の大多数が望んでいるのは平和です。好き好んで戦争をしている訳ではありません。アフガン・イラクの悲劇的現実を自国独自の目的(自衛隊を海外派兵できる集団自衛、憲法改正)の為に利用するとしたら、あまりに恥ずべき醜悪な国家の姿だと思います。
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by bs2005 | 2007-08-26 02:38 | TON同盟  

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