米大統領選立候補者から日本へのラブ・コールをどう捉えるべきか

米民主党は、子供の頃、憧れたケネディ大統領の出身政党である。だから、民主党には良いイメージを持って渡米したけれど、味わったのは幻滅ばかりだった。だからと言って共和党の方が良いというつもりではないのだけど。



どの国の政党もそうなのだろうが、非常に党派的で党派の利害が先に立っている点(時には共和党以上に)でも幻滅したのだけれど、一番の幻滅点は、アメリカの政党は何であれ、その善魔性については全く同じだということだ。

アメリカは民主主義と自由を守る正義の国であり、そのアメリカの国益を守ることは世界の為だという思い上がりに支えられている。考えているのはアメリカ平和で世界平和ではない。その区別さえつけられない。他国の非核には熱心でも自国の非核など真剣に考える気はさらさらない。

共和党ジュリアーニ氏同様、民主党エドワード氏も「日米同盟の重要性」を訴えたと日本のニュースで言っていたけれど、基本は軍事的な重要性からだ。日本は極東の前進基地であり、対テロに対しても未だにアメリカのやり方を強力に支えている国だからだ。大事に思ってくれているのだというような錯覚を持つのは危険過ぎる。

アメリカの国際戦略はもう一国だけでは支えられない。日本にはもっと積極的に軍事協力をして欲しいということに尽きる。極言すれば日本はアメリカによって戦争に引きずり込まれる崖っぷちに居る。国内では安倍さんを初めとした改憲勢力に背中から、その崖下に突き落とされそうになっている。

「善魔の思想を支えるもの」でも書いたように、共和党から民主党に変っても、国際戦略の上では大した変化は望めない。とりあえずイラクからは撤退しても、次の9・11が起きれば全く同じことをするだろう。

ブッシュの戦争への姿勢を批判し、彼の石油との関係などを指摘するメディアもあるけれど、ブッシュの個人的問題だと思ったら本質を見失う。父ブッシュが、湾岸戦争でフセインをやっつけるところまで徹底してやらなかったのが悪いという批判は、あれから根強くあり、9・11以降、アメリカ全体で激しくなった。息子ブッシュがフセイン攻略に動いてしまったのも、父ブッシュへのそうしたバッシングに近い攻撃が背景にあると思う。

民主党の大多数の議員もヒラリーもイラク侵攻に賛成した。大量破壊兵器は無かったことを批判しているけれど、本音ではあの頃、民主党議員もそうした世論同様、フセインをやっつけることの方が重要な目的で、大量破壊兵器は絶好の口実だったのだと思う。そうでなければ、調査を続行するべきだという国連での反対を気にも留めなかったことを説明できない。本音では民主党もブッシュの、つまりアメリカの国際戦略を強力に後押ししていたのだ。今反対しているのは、一向に勝てずに米兵の犠牲が膨大になっているからに過ぎない。

候補者討論会でヒラリーは、9・11と同じ攻撃を受けたら直ちに報復する(retaliate)とはっきり言っている。同じ民主党候補のオバマ氏がブッシュとどこが違うのだと批判しているが、その通りだと思う。気の強い分、ブッシュより大胆な戦争(つまり核使用の戦争)をやりかねない。国際戦略を支える思想が同じであるかぎり、アメリカは戦争をし続けるだろうし、テロの火種を作り続ける。

日本が今しなければならないことは、憲法九条を堅持して集団自衛、自衛隊による対テロ支援をやめて非戦の立場を貫くこと、それによってアメリカの国際戦略を変えて行くことだ。両党の立候補者とも日米同盟が重要と訴えるということは、日本の役割の大きさを示している。逆に言えば、日本が方向を変えれば、アメリカの今の国際戦略も立ち行かなくなり、変えて行かざるを得ない力も持ち得るかもしれない。その意味では日本がどちらの方向を選ぶのかは、そのまま世界平和に関係してくる。ラブ・コールに惑わされてはならない。

注:善魔の概念についてはこちらの過去記事をご参照ください。→「善魔」
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by bs2005 | 2007-08-19 00:50 | TON同盟  

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