本当の平和ぼけ

日本は平和ぼけの国と言われる。私も全く同感だ。自分の国をいかに守って行くのか真剣に考えている人がどれだけ居るのか、世界の情勢を自国の未来と繋げて考えている人がどれだけ居るのか、大いに疑問だから。対岸の火事的な態度が至る所に見られるから。

一方で、だから軍備増強をとか核武装をという人が居る。それはもっと平和ぼけだと思う。特に北朝鮮の核実験以来、急にそんなことを言い出した人は、どう日本を守るかそれまで真剣に考えてこなかったから、そんな短絡した答が出てくるとしか思えない。



先ず第一に軍備で果たして日本は守れる国だろうか?資源もない、食料だって自給自足できていない、細く狭い国土の日本、雪が首都圏に降っただけで麻痺状態になる国、そんな国が先制攻撃を受けてどれだけ対処できるのか、対処しえてもどれだけ維持できるのか。各地にある原発に攻撃を受けたら終わりだろう。軍備を増強しても日本の負ってきた負の歴史からすれば、アジアの中で孤立するばかりだろう。

核武装?核武装を決めたとして、それを実現するまでの過程で北朝鮮に攻撃を受けるかもしれない。黙って見ているとは思えない。攻撃の絶好の口実を与えてしまう。アジア諸国との関係も悪化するだろう。どの国が日本を支えて支持してくれるというのだろう?果たして実現性すらあるかどうか?

アメリカ?日本の国防に必要と言っているのにF22だって渡してくれないアメリカが?機密の保持だって原発の管理だってまともに出来ない日本の持つ核が、挙句の果てにテロ勢力の手に渡るのを恐れて、最も反対するのはアメリカかもしれない。たとえ、アメリカが賛成でも、ロシアや中国が日本の核武装に大反対するのは目に見えている。そのとき、アメリカがそういう国に逆らってまで日本の核武装を支持したりするだろうか?

アメリカにとって脅威なのは中国やロシアである。たとえ日本を敵に回したって、彼らを敵に回すことだけはしたくない。日本は骨のあることは何もしやしないと分かっているのだから。日本にとってアメリカが特別な国であっても、アメリカにとって日本はそこまで特別な国では全くない。どんなにリップ・サービスされても、そこを勘違いしてはならない。リップ・サービスはアメリカの最高の外交武器なのだから。

以上のことをどうするのかという論も不在なまま短絡的に言い出すのは、平和ボケ以外の何物でもないように思う。核武装や集団防衛が特効薬になるとでも思っているのだろうか?余りにも安易だ。

現在、外から攻撃される一番大きい可能性はテロだと思う。テロに対して、軍備や核武装が有効でないことはアメリカが既に証明済みだ。大事なのは先ず第一に安易にテロの標的にならないこと。第二に、国際的な全方位外交をしっかり築いて連携して、テロを包囲すること。(飛行機のみならず全ての交通機関の)ハイジャック阻止、情報収集等の防備を徹底すること。それしか対抗しようもない。特定の国々(しかもテロの最大の標的国)との集団防衛などというのは全く間違った方向だと思う。

北朝鮮も、日本が軍備強化や核武装をしない限りは正面切っては攻撃出来ないだろう。北朝鮮だって中国やアジアの国からの完全な孤立やアメリカとの対決は恐ろしい。それが出来る位なら、六か国会議などに戻ってきたりしない。平和憲法を堅持することは北朝鮮に言いかがり的な攻撃を許さない砦でもある。

逆に自衛隊解体とか廃止などというのも平和ぼけで現実的でない。災害だけ取り上げたって今や無しではやっていけない。現に領海侵犯は起きている。漁船のだ捕等の小競り合いをきっかけにした対立はいつでも起き得る。やられっぱなしを誘発するような状況は作るべきではない。解体、廃止などと言うのは観念的平和主義と言われても仕方ない。大事なのはシビリアン・コントロールだろう。

九条を楯に取って、そういうことは出来ませんと言っていればよいのだ。アメリカへの一方的攻撃なら抗議声明を出して、国際社会と連携して動く。したたかな外交とはそういうものだ。日本の応援を当てにする位なら、そもそもアメリカは日本にこんなに大々的に、こちらが迷惑なほどの基地を持っていない。国益を守ることはお互い当然の権利だ。国家間のことは義理人情の浪花節の世界ではない。

九条は押し付けだという。憲法作成時に、最前線でその押し付けぶりに口惜し涙を流したといわれる白洲次郎氏は、「九条は圧巻だ。たとえ押し付けでも良いものは良い。」と言われたという。日本に押し付けた直後にアメリカは後悔している。当時の吉田首相に再軍備の約束を秘密に取り付けている位に。

九条を手に入れたことはある意味では棚ぼた的な幸運だった。そこに至るまでに多くの貴い犠牲が払われたのではあるが。それを手放すような馬鹿な真似だけはしてはならない。今の国際状況だからこそ意味のある平和憲法。時代がやっとそれを生かせるところに追いついてきたのだ。日本を守る特効薬も、すぐに効く薬も無い。本当に平和に有効な道、どんなに時間が掛かっても現実的で地道な道を、真剣に求めて行くべきだ。

誰も平和ボケしていられない。明日の子供達の為に、、、。
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by bs2005 | 2007-07-26 01:48 | TON同盟  

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