I will shoot him.
2007年 02月 17日
ご主人の方は、子供の頃にポリオを患い、足を引きずって歩くが、奥さんの方は、実に活動的でユーモラスな人だ。スポーツ万能であったそうで、子供さんたちは皆スポーツで奨学金を得ている。
二人は高校時代に恋仲になり、そのまま結婚して多分もう50年位になると思う。二人のやりとりを聞いていると、実にユーモラスで楽しい。奥さんの方が言いたい放題を言っていても、ご主人の方はニマリとどこ吹く風である。そしてたまにウィットの効いたお返しをする。少しも嫌味のない皆で笑えるジョークで。
そのご主人、元々頑健ではないのだが、この所、大分弱って来ている。最近医学的に明らかになってきたことらしいが、ポリオは、治まっていたように見えて、ある程度年輩になるとまたその後遺症が身体に出てくるとかで、何度か救急車の世話になるような危険な状態をくぐっている。昨年の暮れにも肝を冷やすようなことがあったが、今は家で療養中だ。
彼女とと同年輩で付き合いは私よりずっと長い彼女の友人の一人にイギリス人の人が居る。その人はまだこちらに住んでいるので、顔を合わせるとそのテキサスに行った友人の情報交換をしたりしていた。
その人に他の件で電話した。するとご主人が今朝の午前一時に鼻から大出血をして、まるで殺人現場みたいになったのだという。それで病院に駆けつけたが、詳しい原因とか予防等々、何も分らない段階で、一応家に戻されて夫婦でぐったりしている所らしい。
話の最後で、いつものようにテキサスの友人と最近話したかと訊いてきたので、ここ数日、或る件で数回彼女から電話があったので、そのときにご主人の状態は大分良くなったけれど、回復が遅くてと言っていた話をした。そしてその彼女が「これから一週間の間に彼が今より少しも良くなっていなかったら、I will shoot him.」と彼女らしい冗談を言った話をした。
イギリス人の友達は、それが余りに彼女らしいと大笑いした後、今、ご主人が倒れた直後なので、すごく気持ちが分ると言った。私が「そうよね。大事な人であればあるほど、一刻も早くよくなって欲しいものね。ゆっくり待っていられない気持ちでしょうね。」と言ったら、「本当にそう、そう」と実感をこめて言った。
テキサスの友人の一見、物騒なような言葉の底の切ない夫婦の愛情をその友人も切実に感じているようだった。人の命に終わりが来ることは避けられないけれど、別れる日を思うと何とも切ない。命のかけがえのなさを改めて思う。
テキサスの友人夫妻
by bs2005 | 2007-02-17 09:53 | 絆