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The falling sun

日本をThe rising sunと言った時代とは、すっかり様変わりしてしまった。25年以上前アメリカに来た時、私の会ったアジアの人は、自分の国は日本に追いつき、追い越せを目指していると言い、日本の戦後の成長と繁栄を讃えてくれた。日本はアジアのリーダーという概念を自他共に持っていた時代だと思う。



バブル崩壊後、アジアの人にそんなことを言われることは全く無い。逆に、まだ日本ではそんなことをやっているの?と言わることさえある。日本にそういうリーダーとしての尊敬や驚異を感じている国はもう無いように見える。

シリコンバレーで、一番幅を利かせているのは、中国人とインド人だ。特にインド人はこの4~5年すごい勢いで溢れている。彼らは、何億という家を即金で買う。韓国人の台頭も凄い。日本をリーダーなんて、もうとても恥ずかしくて言えたものじゃない。

政治は元々三流と言われた日本。政治的発言力は昔から中国の数分の1も無い。軍事力だって、日本の諸条件を考えたらそれで国を守れるレベルには絶対に行かないだろう。経済も今までのような形では大して望めない。

日本を守る道でも書いたように、日本の再生の道は、地球の共生の先頭に立つことしか残されていないように思う。そして、日本にはその潜在的力がある。

安くて良質な製品を目指すという方向は、既に他の国の競争力、技術力の進歩で先は見えている。家電では(アメリカ国内で見る限り)既に韓国に追い抜かれている。ITではインドに、そして色々な分野で、すでに競争力を失いつつある。けれど、日本が優位に立てる可能性は、省エネを初めとする環境を守る分野だ。ここではかなり先陣を切れている。

車では既にその先端を切りつつあるけれど、他の部門でも、それだけの技術を既に開発しながら、会社の利益優先の方針から埋もれているものがある。その会社の中では埋もれながら、遠く中近東の国に熱い視線を向けられているようなものまである。色々な会社でそういうものが多分あるのだと思う。

会社はそういう自分の技術に自信を持って、その道に生き残りを賭けて行くべきだと思う。急激な方針転換は無理だろうけど、そういう方向性を見失ってはいけない。

地球の砂漠化を止める技術。灌漑の技術。痩せた土地、作物を育てにくい国でも食物を栽培できる技術、地震等の災害予知、救済のノウハウ、地球を守る新エネルギーの開発、鳥インフルエンザ、エイズの救済、廃棄物の有効利用、等々の技術開発に全力で力を入れるべきだ。

簡単である筈はないけれど、日本はその潜在的力を持った国だと思う。本来の日本人は辛抱強く、目的を与えられたときに大きい力を発揮できる国民だ。

そして、もう一つの日本の独自性は、日本が宗教に対してゆるい国であるということだ。ごりごりの宗教を持っていない。これは宗教対立が尖鋭になりつつある国と国の仲介を可能にする立場であり、日本の独自性と存在理由をアピールできる。

日本が唯一の被爆国であることも、非核を貫く限りは、日本の発言権を強めてくれる。アメリカと一線を画した外交姿勢を取れば、それと相まって外交上の大きい武器になる。

また、日本の本来の文化は、物神崇拝ではない。精神性を重んじる文化だ。地球上の全ての国が貪欲に物質的豊かさを求めて行ったら、人類の未来は無い。今こそ、精神の豊かさを求める方向に地球全体を変えて行かなければならない。

これは今日本映画の新たな台頭を初めとした、色々の芸術分野に(伝統的芸術のみでなく、日本流の新しいポップ文化も含めて)期待したい。

日本は本来農耕文化だ。協力して支えあうことを中心に置いてきた文化だ。外に進出して獲物を奪い合う文化ではない。日本の文化のそういう考え方が地球の未来の為に今こそ、必要とされている。

長い目で、大局から将来の方向を見つけて行くことが、日本がthe falling sunにならない為の唯一の道のように思う。日本本来の独自性を見据えて、その能力と使命への誇りを子供達に伝えて行くのが、子供達を心の荒廃から救い出す道でもあると思う。

by bs2005 | 2007-01-31 02:02 | TON同盟  

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