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善魔の思想を支えるもの

今までも何度かアメリカの善魔性の問題を述べてきました。アメリカに居る自分にとっては自明のことなので、その善魔の思想を支えているものをきちんと述べてこなかったかもしれませんが、ひとことで言えば、それはアメリカは自由と民主主義を守ることを自らの使命として持った正義の国だという思い込みです。

アメリカが目指すものが文明の最終理念と言う考えが建国の歴史を通じて根強くあります。その信念を揺ぎ無いものにしたのは、第二次世界大戦が反ナチス・反軍国主義日本として戦われたことによると思います。その考えの中では、同じ西洋的民主主義ではない国は遅れた啓蒙すべき国、救うべき国なのです。

松本健一氏は、「リベラルな民主主義」という理念によって敵・味方を区分けして、世界を一つの家にしようとするブッシュ政権の戦略は、戦前の日本の「八紘一宇」と発想が似ています。(略)米国の「民主」だけが普遍的理念ではない。これからは「民主」と「共生」を同時になし遂げることが大切になってきます(日経8-24-06)と言っています。

基本的には賛同の立場ですが、ブッシュ政権の戦略というのには異議があります。アメリカは常にその考えでやってきたのです。イラク戦争に関しても、ブッシュ政権独自のものではない。民主党も賛成票を投じたのです。ブッシュ批判の先鋒に立っているヒラリー議員も。歴史的に見ても同じ戦略に貫かれて来ています。

ブッシュの問題に矮小化すると大きく見落とすものがあると思います。彼はアメリカの善魔的思考を体現したのに過ぎないし、基本的にそういうものがある限り、政権が誰に変わろうと、そう本質は変わらないし、戦略も変わる筈もありません。日本はアメリカと一線を引いた独自の立場を持つべきです。

松本氏は、『欧米の「石の文明」の外に進出する力ではやっていけない。二十一世紀の日本は米国のグローバリズムに追随するのではなく、自らの「共生」の理念を外に示す必要がある。」と述べ、その共生の思想はインド・中国・日本への広がる「泥の文明」の思想だと言っています。

さらに『「泥の文明」は自然が優しく、様々な民族が固有の文化を持ち、富めるものと貧しいもの、自然と人間が「共生」する。世界の人口の半数を有し、「内に蓄積する力」を秘めています。』と語っています。

ここにも日本が世界に指し示し、その理念を率先してみせるべきもののヒントがあるような気がします。そういう日本を作り上げていくことが日本を守る道であり、集団防衛などというものは、全くそれに逆行するものだと思います。政治の場だけでなく、理念を実践的に語る指導者が居ないのは日本の不幸だと思います。



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by bs2005 | 2007-01-22 11:17 | 異論・曲論  

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