「イ~エ、ワタシハ アサ カオヲ アライマセ〜ン!」
2006年 11月 28日
アメリカ人に日本語を教え始めたばかりの頃の話になる。「朝、昼、夜」等の一日の時間を表す単語、「顔、手、耳、口、歯」等の身体の単語、「洗う、磨く」等の動詞、それを使った文型練習のときのこと。
こちらが洗面のジェスチャーをしながら、「あなたは朝、顔を洗いますか?」という質問をする。文型練習なので、それに「はい、いいえ」だけの答ではいけない。ちゃんとフルセンテンスで答えさせるシステムになっていた。
アメリカ人に聞くと、タイトルの答が返ってくる。初めて聞いたときは、えっ?!と思った。ナニ~??顔を洗わんでオマエはワシの前に居るんかい!って感じ。聞いてはならないことを聞いてしまったようなバツの悪い感じ。
しかし、誰に聞いてもそういう答になる。どうなっているんだろ?と思った私の怪訝な顔に気づいた一人の生徒が言った。「ワタシハ アサ シャワーシマス。シャワーデ カオモ アライマス。」と。
日本でも大分前から朝シャンが一般的になったけれど、アメリカ人は朝起きて顔を洗うのではなく、シャワーで身体全部を洗うのだと分ってやっと納得した。アメリカ人のバスタイムは朝なのだ。シャワーの中だから、顔も上向きで洗い、ジェスチャーで見せたような洗い方ではないから、答は「イ~エ」になってしまう訳だ。
その後、アメリカ人と寝泊りする機会に何度も恵まれたが、例外なく朝シャワーを浴びる。日本ほど湿気がないせいもあり、朝だけで済ませてしまう人が多い。勿論、運動をしたり身体が汚れた場合は朝でなくてもシャワーを浴びるけれど。
それと、シャワーが殆どで普段は湯船に浸からない人も結構多い。「イ~エ、ワタシハ シバラク オフロニ ハイッテマセ~ン」と言われてぎょっとしたら、そういうことだったということもある。
習慣の違いというのは面白い。明らかに違うと思える部分はそんなに問題にならないが、当然同じと思っていると思わぬ勘違いがある。日本人のバスタイムは普通は夜と知らないアメリカ人にとっては、日本人が「朝、シャワーを浴びません」なんて言うのは、同じようにぎょっとすることなのかもしれない。
by bs2005 | 2006-11-28 02:56 | 日米雑記