「チャップリン自伝」のお勧め
2006年 02月 17日
彼の自伝を読んだ。略歴では、貧しい少年時代を送り、母親が精神病院に収容されたことなども読んだ記憶があったが、読んでみて、その想像をはるかに超える悲惨さに胸が詰まった。極貧の生活の中で、幼い少年が母とも兄とも離れ離れになって収容された哀しい日々、一緒にいるために何とか施設から出て母子で暮らすけれど、食べ物もないような日は珍しくない。しかし同時に、貧しいけれど寄り添う母と子の愛情の深さにも心を打たれる。
母親が二度目の精神病にかかったのは栄養失調の為だった。それほどの極貧と淋しさの中で、けなげに耐えて生きて行った彼の姿は、あの有名な彼の作品の”KID”の中の幼い少年そのものの姿だったと知って、何とも言えない切ない気持ちになった。
彼の自伝を読んでいると、彼の作品に流れるものが何故あんなに私たちの心に迫るのか、よく分かる。彼がどこから来て、どこに居続けたか、彼を支えたものが何だったのかも。
無性に切なく、哀しく、淋しく、でも、美しい。まだの方には是非読んでもらいたい本だ。
by bs2005 | 2006-02-17 07:51 | 忙中閑の果実