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問題のすりかえ

アメリカのようにまず論理的であることを求められる世界に居ると、つくづく日本の非論理性を感じる。そもそも論理的思考とか、冷静に論理を論理のレベルで闘わせるという発想がない社会のようにさえ感じる時もある。論理のレベルでいきなり感情論が持ち込まれる。

もう一つの傾向としては、同じ論理のレベルに見えながら、論理と論理をすり合わせて行くのではなく、問題をすりかえて対抗しようとする。

今、民主党や、反対派議員、あるいは世論調査の名を借りて、他にもっと大事な問題がと言いつのっている人達に訊きたい。「年金・医療・介護」の社会保障、「景気対策」、「税制改革」等々、そういう問題の方が郵政より大事だと言う人達にである。

勿論、それぞれ大事な問題である。だからこそ、今、郵政の民営化が問われている。膨大な赤字国債。歳入の倍の歳出。そういう中で、あなたがたが郵政より大事だと言われる問題を解決して行く為の財源は一体どこにあるのですか?と。

先立つものがなくなっている日本の状況で、こういう大事な問題をどう郵政の民営化抜きに出来るのですか?金のなる木でもあるのですか。後世にいつまでつけを回し続けるつもりですか、永遠につけを回して切り抜けられると思っているのですかと。

郵政民営化が本丸だというのは、そういう事だ。今のままでいけば、良くて、公務員の給料を払うだけで精一杯。年金も医療も介護も皆パンクする。先立つものがないのにやって行けない。そういう状況で、どうやって景気を維持出来るのだろうか、回復どころではない。

支出の方が歳入の倍の状況で、どうやって税金を下げられるのですか。税制改革と行っても、逆に大幅な増税になってしまう。支出が倍になっている今の状況を切り抜ける切り札を他に持っているのですか、と。

そういう大事な問題をやって行く財源を確保し、作り出す為には、どうするのかという所から出てきたのが郵政民営化だ。このまま行ったら、もっと大幅な、なりふり構わない公務員の削減、給料の削減をやっていかなければならない。ただ支出を減らすだけの効果しかないような削減。何も生産的なことを生み出さない削減だ。

郵便局がなくなる、どころの問題ですまない。公共サービスが立ち行かなくなる。日本の景気回復どころか、死活問題のレベルでうろうろしなければならなくなる。

大体、日本のどんな過疎地にも宅急便は行く。民間の知恵を絞れば解決できる問題だってたくさんある。民間はそうやって競争を生き抜いて来たのだから。村役場の活用だってあるだろう。前向きに解決すべき問題をただ恐れの問題にすり替える。恐れを利用して大衆の思考停止を図る。それも非論理的対応の一つの典型だ。

大事な問題をやって行けなくなる状況が目の前にある。郵政民営化でなく、こういう強力な方法が別にあるという反論でない限り、「他の問題がある、もっと大事な問題がある」、などというのは、問題のすりかえ以外の何物でもない。そもそも郵政民営化を持ちだして来た人々に対して失礼だと思う。

大事だからこそ、見い出した一つの活路なのだし、反論して行くとしたら、「他に大事な問題、云々」というすり替えでなく、有効な活路ではない、もっと有効な活路があるという提示であるべきだ。郵政を民営化しなくても良い。こだわらない。だが、他にどんな切り札があるのか?

それを抜きに、他に大事な問題などと言い出すのがどんなにインチキであることか。無責任であることか。自分たちがその大事な問題を、いかに具体的に現実的に考えて来て来なかったかをさらしているようなものだ。

そういうすりかえ、ごまかしを横行させてしまう日本の在り方そのものが、すりかえとごまかしだけで生き延びていく政治家を大量に生み出してしまうのだと思う。政治家のレベルは、それを選ぶ国民のレベルも同時に問われている。

by bs2005 | 2005-08-17 23:24 | 異論・曲論  

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