カフカ付け焼き刃豆知識
2005年 08月 04日
カフカの有名な作品ーと言いながら、読んでもいない私(恥!)ー『審判』等、長編は生存中には発表されていなかったのみならず、彼の遺言では、残った原稿は全て焼却してほしいと、彼の親友に託していたそうです。彼の短編の殆ども、その親友が彼の遺言に従っていたら、永遠に人目に触れないものだったのです。生存中は、カフカは官吏の仕事をしていて、書くことを職業にしてはいず、生存中は全く評価されていなかったんですね。時代より早く生まれすぎてしまったのでしょうね。
でも、凄いですよね。その親友というのは、カフカに文学の道を志す決定的きっかけになった人だそうで、彼が居なければそもそも書いていない、彼が居なければ、そもそもそれが残っていない、、。一人の人の力って凄いですね。
勿論、その親友は遺言に従うかどうか迷ったそうですが、最終的には、その遺志に逆らって世に出した、、。お墓の中のカフカがそれを喜んでいるかどうか、分かりませんが、膨大な人々が、彼のその決断に恩恵を被っているんですものね。
カフカが焼却を望んだのは、生存中の評判は芳ばしくなく、そういう作品を駄作と恥じていたそうなので、そういう事からかも知れませんし、死ぬ前のカフカに何らかの宗教的回心が行われ、宗教的な意味で自作を拒否したかったからではないか、あるいはコミュニスト達による自作の読まれ方を憂慮したからだとも言われているようです。毒虫として、愛する人々を傷つけるものを残したくなかったのかも知れません。
カフカの本心は分かりませんが、その親友(マックス・ブロート)の決断には感謝したいです。私の目からみると、カフカの遺志に逆らった彼は、真の友人であるように思えます。或いは過酷な真の文学者だったのかもしれませんが。
by bs2005 | 2005-08-04 01:01 | お目を拝借