真にメルトダウンしたもの

外国の報道では、福島原発はとっくにメルトダウンしていると言われてきた。事故の程度は当初の段階でチェルノブイリ級であること、このまま悪化して行けばそれ以上のものになる可能性があることも。海の汚染を考えれば、私から見ると既にチェルノブイリを超えているように見える。

東電はデータがもう少し出てきて、1号機は地震直後からメルトダウンしていたことが「今」分かったという。保安院は、二号、三号基もメルトダウンしていると認め始めたらしい。今頃認めているのは今までデータが無く、中の様子が分からなかったからだという。

本当にそうだろうか。事故から2ヶ月も経って未だに低温になっていない。三号基は300度を超えて上昇中ともいう。注水量が足りないのだという。こんなに時間が経って、不足している量ではあれ水を入れても、この高温の核燃料。事故直後の温度上昇は凄まじいものだったろう。その時点でメルトダウンしていると考えるのは理論上、当然導き出される結論ではないだろうか。外国の多くの科学者が理論的に導き出していたように、理論的に導き出せていた筈ではないのか。その可能性を否定していたわけではない、なんて言いかたは姑息過ぎる。

ただ真実を認めようとしなかっただけではないのか。パニックを恐れたこともあるだろうが、第一には保身のように見える。それが本当かどうかは分からないけれど、外国の報道によると汚染はもっともっとはるかに広く浸透しているという。国民には広範囲の数字すら与えられていない。日本全土を調べるべきだろうに。調べて教えないだけなのだろうか。数千キロ離れた西海岸でもデータを取り、影響が見られるという話を聞くのに。日本の報道機関はそういう外国の情報をきちんと自らの手で検証しているのだろうか。

核燃料がメルトダウンした時、そして東電が数々の事実を政府にまで隠してきた時、東電の言うことをそのまま呑み込むままだった政府、何の力にもなれなかった原発業界、そして、それらの問題を抉り出し、きちんと批判してこられなかった報道機関、政府発表、東電発表を鵜呑みにして、自分たち独自で突き止めようとしてこなかった彼ら。長年、政府、原発業界の癒着をスルーしてきて、今、東電や政府を批判しながらも、自分たちの今までを一向に反省する様子も無い彼ら。

政府、政治家、原発業界、報道機関の無力さ、無責任さ、姑息さが白日の下に曝され、今、国民は何を信じることも出来ずに、怒りと絶望の淵に突き落とされている。本当にメルトダウンしたものは、彼らに対する国民の幻想である。その事の深刻さを彼らは分かっているのだろうか。その幻想すら無しに、日本はどこへ行けるのか?

追記:鍵コメさんに原発、及び原発事故のことがよりよく分かる分かりやすいサイトを紹介して頂きましたので、皆様にもお伝えします。科学者としての専門的知識から分かりやすく説明してくれています。

武田邦彦 (中部大学) ブログ

氏は、『原発大崩壊!-第2のフクシマは日本中にある』(ベスト新書)を書かれています。
[PR]

by bs2005 | 2011-05-18 00:27 | 異論・曲論  

<< 原発推進の下心 素朴な疑問 >>