人気ブログランキング | 話題のタグを見る

渡辺謙さんの言葉

日経新聞、10月29日、主演した『沈まぬ太陽』についてのインタビュー記事から。

世界の経済状況が急転直下で悪化して、会社が倒産したり、非正規雇用の人がリストラされたりという現実の中で多くの人が会社って何だろう、仕事って何だろうと改めて問い直す時代になった。それを見て、これはもう「矜持」の一語しかないと思いました。

今伝えなければならない何か、僕らが問いかけている何かとは、山崎さんが常にその小説の中で描いてきた、必死で生きている人々の温度やエネルギーだと思います。(略)


恩地が長い間、孤独や疎外感に耐えられたのはなぜか。(略)僕は、恩地が最後にたどりつくアフリカを、クランクインの前に一人で訪ねた。そのときすーっと視界が開けたんです。

アフリカの大地が持っている底抜けの明るさ、陽気さ、すがすがしさ。人が人として生きていくための原始的なエネルギーを感じることで、恩地は細胞ごと別な人間に再生したんだと実感できた。決して鋼のような魂や不屈の精神を持っていたわけではない。おろおろ悩み、苦しんだ。だけどその苦しみから目をそらさなかったから、最後にアフリカと出合って、苦しみに静かに寄り添えたんだと。(略)

やってもやっても仕事が評価されなかったり、何であの役があいつに行くんだと悔しい思いをしたり。若いときは理不尽なことばかりだった。

でも、こんな仕事無駄だと思ったことが、今振り返ると思わぬ鉱脈につながっていた。だから若い人には歯を食いしばって、まず一つところを掘ってみろといいたい。きちんと仕事をしたら必ず自分に戻ってくる。僕も最近やっとそう思えるようになった。


関連過去記事:『沈まぬ太陽』映画化、バンザイ!

by bs2005 | 2009-12-02 08:24 | 忙中閑の果実  

<< 60歳以上を励ます言葉 松井の優雅さ >>